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パーフェクト・ワールド・エンド8-3
「……そうだな」
本人が全然そんなそぶりを見せないから、つい忘れそうになるけれど。あいつは俺とは違う。
「だから、それもそうだけど。高藤も本当に忙しくなるんだから、榛名がちゃんと見ていてあげないと。自分で何でもできると思ってる人間って、本当に厄介だよ。実際、ある程度以上できるから余計に性質が悪い。なんでもかんでも一人で全部やろうとしちゃうからね……と、なに? 榛名」
「いや、なんでもない。そうだな、と思っただけ」
訝しげな四谷に、行人は慌てて弁明する。高藤もそうだが、成瀬も正にそうだろうなと思っただけだ。やはり、あの二人は似ている。
――雰囲気もだけど、そう言う内面の部分かな。なんでもないって顔で、誰にも気が付かれないまま、貧乏くじ引いていくようなとこ。
そう言うところが、好きではあったけれど。
「あ……」
窓の外を通り過ぎていった影に、視線が吸い込まれる。立ち止まりかけた脚を、四谷が急かす。
「榛名、行くよ。あと二分でチャイム鳴るから」
後ろ髪をひかれながらも、行人は前を向いた。
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