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パーフェクト・ワールド・エンド8-4
寮の門限時間ぎりぎりになってようやく寮室に戻って来た同室者の顔は、端的に言って死んでいた。思わず、一言目に大丈夫かと言ってしまうくらいには。
「いや、……うん。大丈夫。生徒会の仕事なんて、中等部でもやらされてたんだし」
「それにしては顔が死んでるけど」
「いや、大丈夫。誰も、なんでまだ当選もしてないのに馬鹿みたいに手伝わされてるんだなんて思ってもないし」
「……あ、そう」
大変だな、としか言いようがない。そして間違いなく今の生徒会役員の中で、高藤が通ると言うのは確定しているのだろう。
――まぁ、結局、高藤しか出てないしな。どういう手を使ったのかは知らないけど。
うんざりとした顔でネクタイを引き抜きながら、高藤が溜息を零している。珍しいなと思っていると、ぼやきが続いた。これも珍しい。
「と言うか、あれなんだって。そもそもとして、向原さんのやってた仕事なのに、向原さんじゃなくて篠原さんから引き継がれてる時点で、おかしいと思わない? おまけに最近、成瀬さんいないし、その所為で篠原さん、若干、パンク気味なのか、いろいろ抜けてるし」
「あ」
「ん、なに?」
「いや、たいした話じゃなかったんだけど。そういや、今日、三限目が移動教室だったんだけど。そのときに、成瀬さん見たなと思って」
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