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パーフェクト・ワールド・エンド8-6

「まぁ、べつに良いんだけど。疲れてるのも事実だろうし。でも、なにやってんだろうな、本当に」 「なにって、さぼりなんだろ?」 「いや、……うん、そうだな」  自分で言い出したくせに濁されて、行人は声を尖らせた。 「なんだよ、その含みのある言い方」 「おまえが見たのはそうだろうけど、それ以外にも多いんだよ、ふらっといなくなる頻度が。また、妙なことしてないと良いけど」  疲れていて面倒だったのか、あっさりと高藤が白旗を上げた。妙なこと。 「妙なこと?」 「妙と言うか、また、裏工作づくりに一人で勤しんでるのかな、と。そう言うことは、向原さんが抜群に巧かったんだけどね」 「……」 「あのね。おまえはいつもそうやって、あの人のことを真っ当な王子様みたいに捉えてるけど。そんな真っ白い良い人じゃないよ。悪い人でもないけど」  分かってると応じた声は、自分でも失笑しそうになる程度には不服そうだった。 「善意だけで成り立つわけがないだろ、この世界が」  呆れたようにそう言って、高藤が続ける。

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