328 / 1144
パーフェクト・ワールド・エンド8-9
「そう言うわけじゃない、ですけど」
「それはそうか。皓太だもんな」
あっさりと成瀬は頷いた。
「あいつ、優しいだろ。真面目で、俺が言うのもなんだけど、アルファにしてはどうなんだって言うくらいまっすぐで。自分よりも誰かを自然と優先できる」
だから、高藤を選べと言っているのだろうか。疑いながら、行人は違う言葉を選んだ。
「だから、あいつを選んだんですか。生徒会に」
「俺だけじゃないよ。篠原も皓太が良いって推してた」
「……」
「茅野も、寮生委員会から手放すのは惜しがってたけど。皓太がやる気があるならって了承してくれた。適正だって思ったんだろ」
「成瀬さんは?」
はぐらかされるかと思ったが、そうはならなかった。
「それは、そうだな。皓太だったら、今を維持してくれるだろうから、有り難いなと思ったよ。俺にも今をつくった多少の責任はあるし。それに」
「それに?」
「行人がいるから、皓太は断らないと思った。だから、推した」
ともだちにシェアしよう!

