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パーフェクト・ワールド・エンド8-10
静かな声が淡々と告げる。その内容を噛み砕こうと思って、できなかった。そんなこと、ちっとも嬉しくない。嬉しくない。
「成瀬さん」
「なに?」
「……成瀬さん」
縋るような声になった自覚はあった。けれど、これが精いっぱいだった。
「俺は、ここにいても良かったんですか」
この人は、俺と違う。一人で生き抜いていく。生きていく。でも、俺はそれができない。その出来損ないの俺のために、あいつの優しさを利用していいわけがない。
感情が決壊したように蠢いている。苦しかったのは、それだ。高藤の負担になりたいわけじゃない。なれるわけがなかったのかもしれないけれど、それでもできることなら対等でいたかった。少なくとも、一月前まではそれができていた。歪だったかもしれないが、ギリギリのところで保たれていた。
つがいなんてまやかしで、守られる必要なんてなかった。
「行人」
優しい声だった。
「おまえは、ここにいていい」
欲しい言葉をいつでもくれる、優しい声。それに、ずっと甘えてきた。
「ここは、誰も弾き出さないよ」
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