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パーフェクト・ワールド・エンド9-1
[9]
――良いよ。おまえが秘密を守ることができている間は、俺も黙っていてやる。
そんな、他愛のない約束をした。何年も前に。
それは俺にとっては意味のあるもので、けれど、あいつにとっては何の意味もないものだったはずだ。
それなのに、何年もあいつは守ってくれていた。
「――さん?」
けれど、それも、もう終わった。そして、終わらせたのは、あいつじゃない。俺だ。
誰に言われなくても、自分が一番分かっている。俺の所為だろうと言うことも。
「成瀬さん」
その声に、ふっと意識が現実に戻って来た。場所が一瞬分からなくて、眼を瞬かせる。そしてすぐに生徒会室だったと思い出した。
「あ……、ごめん。皓太」
心配そうな顔に覗き込まれて、一拍置いて笑顔を浮かべる。巧く出来ていなかったのかもしれないと思ったのは、年下の幼馴染みが訝しげに眉を上げたからだった。
「今、寝てた? 珍しいね。大丈夫?」
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