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パーフェクト・ワールド・エンド9-7

「でも、皓太の同室者だと、他の一年の子よりかは喋る頻度が増えるかも」  名前と顔がすぐに一致したのも、幼馴染みが入寮してすぐに部屋を覗きに行ったときに、その少年がいたからだ。  かわいらしい、ともすれば少女のような顔をしているのに、纏う空気はひどく固かった。来るものすべてを拒絶するような。  ――まぁ、オメガだったのなら。そう言う意味では仕方がないと思うけど。  同時に、それにしても、とも思う。オメガだと言うのなら、なにもわざわざ全寮制の男子校になど入学しなくとも良いだろうに、と。  所詮、すべては親のエゴだ。成瀬も、自分の意志で陵を選んだわけではない。ある意味で、生まれ落ちた瞬間から、陵学園に入ることが決定付けられていただけだ。  そして、それは、この学園に中等部から入学してくる子どものほとんどが、でもある。 「皓太、気付くかな」  ぽつりと零したそれに、向原が「どうだろうな」とおざなりに相槌を打つ。本当にどうでも良さそうなそれに、少しだけ肩から力が抜けた。  向原にとっては、オメガだろうがアルファだろうが、興味さえなければどうでも良いことなのだ。自身が絶対的なアルファだから、と言う背景に裏打ちされていたとしても、成瀬は向原のその「ある意味での公平さ」が好きだった。

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