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パーフェクト・ワールド・エンド9-8

 そして、自分のことを気にかけてくれているのだろうとも理解していた。ほんの少し、癪だと感じることもあったけれど、それ以上に有り難いとも思っていた。二年に進級したときに、向原と同室になった。もちろん、ある程度以上に気は使う。けれど、それでも、第二の性が露見することを心配しなくて良いのだ。既にバレているから、と言うだけではあるけれど。 「それよりも、三年の――」  尾道たちの方を気を付けた方が良い。あいつら、可愛い一年が入って来たって、色めいてたから。  続いた助言に、そう言うことは良く知ってるんだよなぁと苦笑する。何も興味はないと言う顔をしているくせに、そして実際そうなくせに、この学園に情報網を根付かせて、大事を把握しているのだ。 「あいつら、まだそんなことしてんのか」  旧体制の生き残りのような、――所謂ところの、札付きだ。 「むしろ、今更あのスタンスを変えるつもりはないんだろ」 「……馬鹿なやつ」 「あいつらからしたら、おまえが馬鹿だろうな」  向原が声を立てないで笑う。 「何もしなけりゃ、アルファ至上主義の頂点に立てただろうに。アルファもベータもオメガも、みんなみんな平等ですって馬鹿みたいな旗を振り出したやつだって思ってるだろ」

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