342 / 1144

パーフェクト・ワールド・エンド10-2

「お。なんだ、高藤。久しぶりだな」 「茅野、さん」  だから余計に、だったのかもしれない。廊下で鉢合わせた茅野の、全くと言っていいほど変わらない笑顔に力が抜けた。 「どうだ。なかなか大変だろう。生徒会も。と言っても、おまえは中等部での経験もあるしな、多少は慣れているか」  たまには付き合えと引っ張ってこられた先は、特別フロアの談話室だった。元々の在籍人数が少ないと言うこともあるのだろうが、他の階と比べて、どこか冷たく静かな気配に満ちていた。 「でも、やっぱり中等部とは違いますから。おまけに、なんと言うか」 「濁さなくてもいい。今のシステムは、成瀬と向原が好き勝手に変革させた代物だからな。――にも関わらず、その片割れがいきなり投げ出したんだ。皺寄せがひどいに決まっている」  言い切った茅野に、思わず苦笑が漏れる。似たような台詞は何度も篠原から聞かされていたのだが、生徒会の外から見えも同じ認識であるらしい。 「あいつもなぁ、考えていることが分からないわけではないんだが」 「あいつって、向原さんですか?」 「そうだ。おまえは榛名と違って、向原にもそれなり以上に懐いているし、可愛がられていただろう」

ともだちにシェアしよう!