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パーフェクト・ワールド・エンド10-4

 慰めてくれたのだろうとは思うが、あまりにも当人任せが過ぎるようにも思う。それも信頼しているから、と言う理由で済まされてしまうのかもしれないが。  ――俺が思うあの人たちと、茅野さんが思うあの人たち、って言うのも、たぶん、ぜんぜん違うんだろうけど。  それのどちらが正しいか、なんて。きっと、最後の日まで分からない。 「これも、おまえが知っている通り」  すっきりしない感情が顔に出ていたのだろう。茅野が口調を緩めて取り成す。 「あいつは、昔からずっと、成瀬にだけは甘いんだ。眼を覆うような酷いことにはならんから安心しろ。――まぁ、この学園にとって、是と出るかどうかは分からんが」 「それは、……俺たちからすると、半分ほっとしますけど、半分は怖いですね」  軽口で応じて、空気を軽くする。実際のところ、卒業したあとのことまで、背負わせるつもりはないのだけれど。あとは、自分たちの問題だ。 「榛名も心配してるんで、伝えておきます」 「そうしてやってくれ。あいつもな、正直、人のことを心配している場合ではないと思うんだが。そう言う性分なんだろうな」 「本当に」  それには苦笑しか出来なかった。  ――自分のことより、「成瀬さん」だからな、あいつ。

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