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パーフェクト・ワールド・エンド10-5
この間も、何を思ったのか、消灯時間過ぎてからふらふらと成瀬さんのところに行ってたみたいだし。
あまりふらふらするなと注意するのは同室者としても当然のはずなのに、声に出せば嫉妬している風に響きそうで、言えなかった。
――行った先が、行った先だしなぁ。
曲がりなりにも、生徒会長だ。その人が許しているとなれば、違反だなんだと言いにくい。
……オメガだってバレてるんだから気を付けろ、なんて、さすがに口が裂けても言えないし。
言ったが最後、何かが崩れて消えてしまいそうな気がする。それが何なのかは分からないのだけれど。
「榛名?」
自室のドアを開けて、皓太は小さく首を傾げた。いるだろうと思っていた同室者の姿がない。時計を確認すると、やはりもう五時近くになっていた。
――まっすぐに帰ってたら、いないとおかしいんだけどな。
そもそもで言えば、寮生委員会の所属には近い未来なるだろうが、現段階では榛名は何の委員会にも部活にも所属していない。放課後教室に居残ってたむろするタイプでもない。
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