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パーフェクト・ワールド・エンド10-6
「四谷のところかな」
懸念を払しょくするように呟く。この数カ月で、榛名は四谷とはかなり打ち解けたようだった。クラスも同じだから、一緒に帰寮していることが多い。
四谷の部屋に行ってみようかとも思ったが、そこまでするほどのことでもないだろうと思い直した。どうせ、あと一時間もすれば夕食の時間になる。それまでには戻って来るだろう。
課題をこなしながら、時計を確認すること五回。溜息を吐いて、座っていることを諦めて皓太は立ち上がった。
――こうやって、気にするのも、あいつが「オメガ」だって知ったから、になるのかな。
その前なら、もしかしたらそこまで心配しなかったかもしれない。そう思って、いや違うかと思い直す。
そうではなくて、以前だったら抑え込んでいた干渉や心配を、抑え込まなくても良い理由を見つけてしまっただけだ。
「……榛名?」
「うわ。……びっくりした」
ドアを開けようとした瞬間、外から開いた。榛名が驚いた風に一歩後ろに退いた。
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