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パーフェクト・ワールド・エンド10-7

「なんだよ。どこか行くのか?」 「いや……まぁ、べつに。榛名こそ、どうしたの。遅かったね」 「あぁ、ちょっと」  なんでもない風に榛名が首を傾げる。その顔も姿も、いつもとまったく変わらない。どちらにせよ心配し過ぎだったらしいことに安堵はした。 「四谷と話してたら、遅くなった」 「教室で?」 「うん、まぁ。最近、どこも空気悪いから。寮も、……なんか、微妙な感じのときがあるし」 「仕方ないだろ。ここには、まぁ、言い方は悪いけど、火種の一つがあるわけだし」  残りの火種は楓と柊に燻っているだろうが。 「でも、珍しいね。そんなに盛り上がってたんだ」  以前だったら、顔を見合わせれば四谷の嫌味から始まり、口喧嘩に発展していたのに。人間、変われば変わるものだ。 「まぁ、ちょっと。いろいろ」 濁した榛名が皓太を押しのけて中に足を踏み入れる。瞬間、ふわりとまた甘い匂いがした。

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