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パーフェクト・ワールド・エンド10-8
――気にするようなことじゃない、か。
「そう言えば」
「なんだよ?」
「茅野さんがあんまり気にするなって言ってたよ。大丈夫だからって」
「それって、成瀬さんのことだよな?」
「そうだけど。だから、そんなに名前を聞いただけでカリカリすんなってことだと思うけど」
あっと言う間に険を帯びた瞳に、なんだかなぁと思いつつドアを閉める。今となっては外に出る必要性もない。
「なぁ、高藤」
神妙な声に、皓太は自分の机に戻ろうとしていた脚を止めた。
「おまえさ……」
「なに? 言いたいことあるなら遠慮しなくて良いってこの間も言わなかったっけ」
遠慮される方が気持ち悪いと笑ってみたけれど、榛名の顔は変わらなかった。そして悩むように黙り込んで、また顔を上げる。
「おまえさ、成瀬さんのこと、どう思ってんの?」
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