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パーフェクト・ワールド・エンド11-1
[11]
なぁ、おまえは一体、何がしたいわけ?
半分は分かっているが、聞きたくはない。そんな空気を隠し切れていない旧友の声に、向原は微かに笑った。
反論したいようなことも、弁明したいことも何もなかったからだ。
「だから、おまえは、あいつの側に残ってやれって言っただろ」
「俺も一応、その時にも言ったと思うんだけど。気持ちの悪い言い方かもしれねぇけど、俺からしたらあいつもおまえも同じ『友達』なんだって」
友達。あまりの言葉の似合わなさに向原だけではなく、篠原も微妙な顔になっている。顔を見合わせて、失笑したのは篠原が先だった。
「やっぱ、気持ち悪いな。『友達』は」
「おまえが言ったんだろうが」
自室にいないでふらふらしてるなら、顔出せよ。篠原に誘われるがまま、楓寮に顔を出したのも、半分は気まぐれだ。
「昔に比べて多少は可愛げが出たと思ったら、まぁた、面倒臭い状態に逆戻りだ」
「逆戻り、か」
「違うのか?」
「どうだろうな。どう思う?」
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