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パーフェクト・ワールド・エンド11-2

 篠原は、広い視野で人間を良く見ている。その男が、どう言う風に捉えているのだろうか。聞き返すと、篠原は小さく肩を竦めた。  こんな風に、篠原の部屋で二人、顔を見合わせているのは、どこか懐かしいようにも思う。  同じ寮だったころは、こういった時間も確かにあった。それも、昔の話だけれど。 「おまえは昔から、……と言うか、ここに来る前のおまえは、良く分からないやつだった」  何を考えてるのか分からないし、醒めた顔してるし。他の人間に一切の興味もなさそうだし、怖いし、と。  愚痴なのか不平なのか分からないことを一息に述べて、笑う。 「前にも言ったけど、それがここに来て、変わっただろ。その変わった部分は、今もそのままだろうと思うけど。いや、思うから、か。昔みたいに近寄りづらい雰囲気に戻ってるのに、なんと言うか、厄介」 「厄介ね。そうかもな」 「おまえはさ、そうやって自覚があるから良いじゃん。自覚があると言うか、目的が明確と言うか」  言い切ったくせに、ほんの僅か、言い淀むように言葉を切った。 「でも、成瀬は違うだろ」

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