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パーフェクト・ワールド・エンド11-3

「……」 「おまえはそれが気にくわないのかもしれねぇけど。あいつはそうじゃないのに、中心に否応なしに巻き込まれるんだ。多少は気の毒だとは思ってる」 「そこまで分かってて、多少か」 「仕方ないだろ。おまえのことも一応、ずっと見てたんだよ、俺は。分かるなんて言わないけど、おまえの考えも少しは分かるつもりではいたから」  ここで「分かる」と言い切ったなら、そんなことがあるかと一笑して終わらせたかもしれない。 「そうか」 「だから、やり過ぎるなとしか言いようがないんだけど」  あとは、と諫めるように篠原が言う。 「俺のフォローできる限界はあるからな、ってことだな」  そんなもの、と確かに思った。あいつは、結局、一人で生きている。だから、元から誰の助けも求めてはいない、と。 「……そうかもな」  助けてやらならければならない。かつて思っていた幻想のような願望はいつの間にか消え去った。  残ったのは、だったら、何が最善かと言う一点だけだった。  最善。ここだけではなく、ここを出てからも、生きていくための。

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