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パーフェクト・ワールド・エンド11-5

 この学園で気を付けるような場所はなかったはずだった。 「順調?」  問いかけに、また、にこりと水城が微笑んだ。 「えぇ、皆様のおかげで。充実した学園生活を過ごさせて頂いています」 「そう」 「はい。ここにいらっしゃるのは、良い人たちばかりですから」  楓寮に、この子どもがつくった組織に、風紀委員会。同学年の内の何割を掌握しただろうか。そうやって、少しずつ、少しずつ、味方を増やし地盤を固めていく。この学園に入学して成瀬がやっていたことだ。  オメガであったあの男が創り変えようとしてた学園を、またオメガである子どもが創り変えようとしている。  業と言えば、業なのかもしれない。 「向原先輩にも、素敵なことがありますように」

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