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パーフェクト・ワールド・エンド11-7
「いや、……そう言う心配をしていたわけでもないんだが」
「なら、なんで居るんだよ」
「こんな時間に、と言うなら、そっくりそのまま返させてもらうぞ。ついでに繰り返すが、俺は寮長としてだな……、と。なんだ。ここにもまだ誰か居たか」
どいつもこいつもと言わんばかりの声でぼやいて、茅野の足が談話室の前で止まる。薄暗いスペースの隅に人影が見えた。ちょうど良かった、と。茅野との会話を放り投げて自室へと戻ろうとしていたのを止めたのは、微かな匂いがしたような気がしたからだった。
甘い、匂い。
「おい、こら。起きろ」
呆れた声とは裏腹に、机に突っ伏している肩を揺する手つきは優しい。
「こんなところで寝るな。妙なところで無防備なヤツだな」
「良い」
足を踏み入れたのも、その手を取ったのも、半ば以上無意識だった。
「おまえ」
今度こそ、呆れ切った声だった。
「そう言うあからさまな独占欲を出して見せるくらいなら、もっと分かりやすい方法を選んでやったら良かっただろう」
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