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パーフェクト・ワールド・エンド11-12
結局、全部、そうやって分かっていて。それでも、それ以上を言うこともない。分かり切っていたことだった。恐らく、それは向原だけではなく、成瀬にも。
そう言う意味では、お互い様だとも、こちらも恐らくどちらも思っている。
「成瀬」
「なに?」
何の含みもないような声だった。その根底にあるのが偽りだったとしても、突かなければ、この静かな時間が続いたのだろうとは思う。ここを出るまでは。
「早く寝ろよ」
「そうする」
あっさりと頷いたくせに、一向に席を立つ気配がない。根負けしたつもりはないのに、口を開いてしまっていた。
「おまえは、こんなところで何をやってたの」
「べつに」
その声に、落としていた視線を上げた。虚を突かれたような、どこかぼんやりしていたそれ。すぐに立ち消えて、苦笑いに変わる。
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