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パーフェクト・ワールド・エンド12-6

 行人が出逢ったとき、あの二人は既に中等部の三年生で、中等部の中心で、頂点だった。本来だったら、そのままずっと遠いはずだった存在と近しくなることができたのは、自分が高藤と同室だったからだ。それだけだ。  ――でも、高藤は違う。 「何と言うか、そうだな。本当に仲は良かったよ。特に中等部にあの人たちが居たころは。成瀬さんと向原さんと、あと篠原さんもか。長期休暇の度に、誰かの別荘に集まってたから。――まぁ、成瀬さんの場合は、自分の家に居たくなかったから、って言うのも大きかったと思うけど」 「あぁ」  そう言えば、以前も高藤は言っていた。成瀬の家の事情は少し入り組んでいると。  ――アルファ至上主義、ね。  そう言う主張が存在していることは知っているし、だからどうとまでは思わないが、相容れない存在であることもまた事実だ。自分のような、オメガにとっては。 「俺も、その集まりにたまに混ぜてもらってて、そこからの付き合いなんだけど。そうだな」  記憶を辿るように、一度、言葉が途切れる。 「大事にしてるんだと思ったよ。それが、どういう意味合いなのかは……俺が勝手に決めることじゃないと思うけど。でも、特別だったんだろうなとも思ってた、かな」

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