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パーフェクト・ワールド・エンドΦ-3

「なんて言うか、すごいおまえの家っぽい」  金持ちや格式の高い旧家、名家ばかりの陵の中でも、向原の家は群を抜いていた。 「どうかな。言っても、俺は長男ってわけでもないし。気楽だけど」  それはそれで少し羨ましいような気もする。沸いた羨望を無視して問いかける。 「向原はあんまり弟っぽくないけどな。それとも、お兄さんの前だと変わったりするの」 「うちは放任主義なんだよ。おまえが過保護なだけ」 「そんなに過保護かな、俺」 「自覚ないとは言わないよな」 「……言わないけど」 「けど?」 「四月から、と言うか、もう今週末か。新入生が入寮するだろ」 「あぁ、皓太か。あんまり構うと嫌がられるぞ」  さらりと諭されて、もう既に先日、釘を刺されたばかりだとは言えなくなった。  ――俺だって、もう子どもじゃないって言われても、俺から見たら子どもなんだけどな。 「だって、可愛くて。つい」 「おまえのそれは、あれだよな」 「なに?」  過保護だとか、独りよがりだとか。そう言った類の非難が続くかと思ったのに、向原は曖昧に首を振った。 「なんでも」

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