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パーフェクト・ワールド・エンドΦ-5

 なんだかなぁ。目の前の男に言いたいことは山ほどあるが、総括してしまうとその一言に尽きる。 「向原」  寮内の相談室、と言う名目の指導室だ。威圧した声を出したところで、委縮するはずもない。おかげで後輩を相手にするときには決してしないような応対になってしまった。 「おまえ、なんで自分がここに呼ばれたかくらいは分かってるよなぁ」 「さぁ、なんでだったかな」 「おまえが! クソ目立つところで! 本尾と派手にやりあったからだろうが!」  新学期始まって早々に何を面倒増やしてくれてるのか、との不満が指先から溢れ出す。爪先で机を叩けば、煩いと言わんばかりの溜息が返ってきた。溜息なんて、俺が吐きたい。茅野はこれみよがしに溜息を吐き返した。 「おまえなぁ、一年も入って来たばっかりなんだぞ。それを何だ。なんで寄りにも寄って、生徒会と風紀と言う、この学園を抑えるべき側の人間が何をやってるのか、と」 「運が悪かったな。最早、残るところが寮生委員会しかなかったわけだ」 「説教する人間がな!」  こっちだって、新入生が入って来たばかりで色々と大変なのだ、と。茅野も声を大にして主張したい。  ――今年は、また面倒なのが入って来たしなぁ。  浮かんだ一人の顔に、茅野は眉間に皺を寄せた。

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