383 / 1144
パーフェクト・ワールド・エンドΦ-8
「骨は折れてはなかったがな」
だからと言って、軽傷だとは言いたくない有様だったのだが。溜息を吐いて、軽く睨む。
「成瀬があそこまでやるとは、俺には思えないんだが。おまえが止めを刺したんじゃないのか」
そうだと言われても、今更どうにもならないことではあるので、どうでも良いのだが。強いて言うなら、ただの興味だ。寮長としては、知っておいた方が良いとも思うが、それはそれだ。
「だったら?」
「そうくると思った」
「思うなら聞くなよ」
「万が一があったら、ラッキーだろう」
面倒になってきて、おざなりに続ける。この男の考えは読めないが、ある一つのことだけなら分かる。
「あいつらは、そんなにおまえの逆鱗に触れるようなことでもしたのか」
向原はこう見えて、気が長いし、滅多なことじゃ切れたりもしない。その程度のことは、三年目になる付き合いで分かるようになってしまった。
ふっと向原が笑った。
ともだちにシェアしよう!