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パーフェクト・ワールド・エンドΦ-10
「今日のでちょっとはガス抜きになっただろ。定期的に抜いてやらねぇと。面倒だけどな」
軽く肩を竦めた向原は、これで原因は分かっただろうと言わんばかりだった。
「妙なところで大爆発されたら、それこそ面倒だ」
「ある程度は相手してやらないと、矛先が変わるからなぁ?」
篠原が言っていた話だが、昔はここまでひどくはなかったらしい。悪化したのは、陵に入ってからだ。陵に入って、向原が成瀬と逢って、変わってからだ。
茅野自身は、陵に入学する前の向原を知らないが、一年の春に出会ったころと比べただけでも、驚くほど丸くなった。茅野はそれは良い変化だと思うし、篠原もそう思っているだろうことは疑いようがない。同時に、本尾が気に入らなかったのだろうなと言うことも理解はできる。
「冗談」
久しぶりに見る嫣然とした微笑を刻んで、向原はあっさりと言ってのけた。
「俺がそんなことを許すわけがないだろ?」
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