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パーフェクト・ワールド・エンドΦ-15

「俺が居たらそうするけど。居なかったんだから仕方ないだろ」 「あぁ、はいはい」  さも平然と自分だったら大丈夫と言うのもすごい自信だなとも思うが、これも今更だ。  それがどれだけ凄いことなのか、一番分かっていないのはこの男だと言うことも。  ――あの暴君様をこれだけ自由に操る人間が現れるなんて、俺らみたいに昔のあいつを知ってる奴は想像もしてなかったんだよ。  なんとなく悔しいような気もするが、同じだけ篠原はほっとしていた。あぁ、あいつも、一応、俺たちと同じ人間だったのだなと思うことができたのは、今まで何にも執着していなかった男の執着を見たときだった。 「まぁ、つまり、そう言うこと。おまえが居なかった間に起こったことなんだから、虫の居所が悪かったんだな、あいつら。くらいに思っとけよ」  それ以上を考えてもろくなことにならない。と言うか、成瀬にはきっと理解できない。それが一概に駄目だとは思わないが。

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