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パーフェクト・ワールド・エンドΦ-16
「俺もそうしたいけど」
「けど、なんだよ。向原も俺と同じ意見だと思うぞ?」
「だからだよ」
微かに苛立ったような声は珍しいなと感じたが、堂々巡りの内容にさすがに嫌気が差してきたのかと思うことで納得した。篠原も切り上げられるものなら、妙なぼろが出ないうちに切り上げたい。
「だから、なんだっての。さっきも言った通り、あいつらは昔からああなんだよ。おまえがどうのこうのと口出す問題じゃないの」
「あそこまで合わないってことは、ある意味で、すごく合うんだと思うんだけどな。勿体ない」
「……」
「思わない?」
「思わない」
一蹴したものの、さてどう言うべきなのだろうかと考える。恵まれた育ちをしているからなのか。成瀬の思考は篠原には信じられないくらい平和に思えることがある。繰り返して言うが、嫌いではない。ただ。
――いろんな意味で、本尾と成瀬が合わないのは良く分かる。むしろ。
そう、むしろ、ともう一つの方が変なのだ。あの向原と気が合っているのが、ある意味でおかしい。
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