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パーフェクト・ワールド・エンドΦ-17
――でも、そう言えば。
ふと蘇ったのは、中等部に入学してすぐのころの記憶だった。たしかあのころ、向原は成瀬のことに多少の興味は持っていたけれど、どちらかと言えば、奇妙な生き物を見るような感情に近そうだったし、篠原もそうだった。
それが今の状態に落ち着いたのは、いつごろからだっただろう。
――確か、あいつらが二人そろって消えたことがあって、あれ以来、か。
完璧すぎて人形のようだった成瀬の分厚い殻が外れ、孤高の王と言った風だった向原に人間味が現れるようになった。
それも悪いことだとは、篠原は思っていない。良いことだと心の底から思うし、初めて逢ったころよりずっと、今の方が友人として好きだと思う。ただ、その変化の行きつく先はどこなのだろうと感じてしまう瞬間もある。
「とりあえず、面倒事を増やしたくないなら、関わるのは止めとけ。おまえと本尾が合うわけもないから」
「まぁ、それはそうだと思うけど」
そこは納得するんだなと苦笑する。成瀬と本尾が距離が近くなることは絶対にない。間に向原がいる限り。
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