395 / 1144

パーフェクト・ワールド・エンドΦ-20

「それはない」  そもそもとして、自分と成瀬の間で、篠原の言うところの「喧嘩」の状態は起こりようがない。それは、自分がさほど感情を高ぶらせないから、と言うこともあるけれど、同じだけ成瀬が一線を引いている。 「だよな。良かっ……」 「仲良くしたら良いのに、とは何回か言われたけど。あいつの脳内、どうなってんだろうな」 「おまえ、それで面倒臭くなって、派手に諍い起こしたわけじゃない、よな」 「そこまで俺があいつの言動で影響されてると思うのか」 「思う」  呆れを含んだ問いかけに、篠原は嫌になるほどはっきりと肯定してみせた。 「そもそもとして、あいつらを退学に追い込んだのも、成瀬の為だろ。それ以外に考えられねぇ。あいつら、前からちょくちょく成瀬にちょっかいかけてたもんな」 「そうだったか?」  だとしても、本人は何とも思っていなかっただろう。そう言う意味で言えば、あの男は案外と図太い。

ともだちにシェアしよう!