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パーフェクト・ワールド・エンドΦ-20
「それはない」
そもそもとして、自分と成瀬の間で、篠原の言うところの「喧嘩」の状態は起こりようがない。それは、自分がさほど感情を高ぶらせないから、と言うこともあるけれど、同じだけ成瀬が一線を引いている。
「だよな。良かっ……」
「仲良くしたら良いのに、とは何回か言われたけど。あいつの脳内、どうなってんだろうな」
「おまえ、それで面倒臭くなって、派手に諍い起こしたわけじゃない、よな」
「そこまで俺があいつの言動で影響されてると思うのか」
「思う」
呆れを含んだ問いかけに、篠原は嫌になるほどはっきりと肯定してみせた。
「そもそもとして、あいつらを退学に追い込んだのも、成瀬の為だろ。それ以外に考えられねぇ。あいつら、前からちょくちょく成瀬にちょっかいかけてたもんな」
「そうだったか?」
だとしても、本人は何とも思っていなかっただろう。そう言う意味で言えば、あの男は案外と図太い。
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