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パーフェクト・ワールド・エンドΦ-21
「おまえが分かってないわけないだろうが」
そう言いながらも、篠原は諦めた顔で言葉をしめた。
「まぁ、良いけど、本当に。どうせ、何回揉めたところで、おまえと本尾は変わらないし、成瀬も変わらないし」
頑固なやつばっかりだ、と笑う声に、向原も苦笑を返した。否定をする気も起らない。
「そう言えば、その一年、……まぁ、気持ちは分かるけど、えらい懐いてんだろ、成瀬に」
その一年の顔が脳裏に浮かんで、向原は溜息を呑み込んだ。確かに懐いている。自分が近寄るなと言う空気をこれでもかと出しているにも関わらず、寮室に入り浸ろうとする程度には。
「そう嫌そうな顔してやんなって。皓太と同室なんだろ。どっちにしろ、そのうち、懐いてたに決まってるから。それがちょっと早くなっただけだろ」
あいつ、年下構うの好きだから、と、取り成すように篠原は言うが、向原の不服はそこにはない。
問題はただ一つ。その一年が、オメガだからだ。
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