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パーフェクト・ワールド・エンドΦ-27
「終了間際に、馬鹿な議題をぶち込んできて。若葉の寮長」
「若葉ってことは、ほとんど本尾じゃん」
若葉寮の寮長は形だけで、ほぼ風紀が――本尾が仕切っていると言うのは周知の話だ。
篠原はまたかと言わんばかりに笑ったが、成瀬は笑わなかった。苛立たしそうに指先が机上を弾く。
「うちで、揉めた一件があっただろ。それにかこつけて、第二の性を公表したらどうかって来やがった。公表とまではいかなくとも、健全な寮運営の為に寮生委員は知る権利があるんじゃないか、だと」
「オメガが襲われたって言うなら、一理はあるな」
「だから。オメガじゃないって言ってるだろ。と言うか、そう言う勘繰りが嫌だって言ってるんだ」
トーンの下がった声に、向原は俯いて笑った。そもそも、その案は幾度も前から出ていたものだ。その度に、うやむやになってはいたが。
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