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パーフェクト・ワールド・エンドΦ-29
あくまで自分の考えだと言う言葉で終わらせられる程度には頭が冷えたらしいと知って、向原は口を挟んだ。
「本尾が言いそうなこと言ってやろうか?」
「べつに要らない」
「どれだけきれいごとを並べたところで、そう言う世界であることには変わりがない。にもかかわらず、奇妙過ぎるほどに第二の性を排除しきったここは、偽物の幸福の箱庭としか思えない」
「……若葉の寮長が言ったことと一字一句違わないんだけど」
見てたのかよと苦笑して、成瀬が「でも」と続けた。
「その言い分が分からないとは言わないけど、だからこそ、ここに居る間くらい、良いんじゃないかと思うんだよな」
「そうか」
その意見が聞けたので、向原はひとまず満足した。その考えが変わらないのなら、もうしばらく奇妙な箱庭の内側に居てやってもいい。
「それ、あれだろ。最近、風紀を中心に集まってる反対勢力だろ、会長様の」
「良く知ってるな」
「さすがに目立ってきてる、最近は」
篠原が窺うように成瀬に声をかけた。
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