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第2話
霧島を含めた三人は同じ大学の学生だが、接点らしい接点はなかった。
中性的であり蠱惑的でもある容姿の中井千晶 に、いかつい面構えで周りを威圧していた伴劉生 が一目惚れしたときから、このおかしな三角関係は進んでいく。
バイセクシャルの伴は、ゲイの中井にアプローチを試みるもあえなく玉砕。中井はアンドロイドのような無機質さが漂う男、霧島が好きだったのである。それを知った伴は霧島の前で中井を犯し、霧島と中井双方に恥をかかせようとした。
だが、伴はひとつ大きな誤算をしていた。霧島柊二はアセクシャル――無性愛者だったのだ。そのうえ伴に対して特別な感情を抱いていたのである。
それからというもの、三人はセフレに近しい関係性へと進んでいく。伴が中井を犯し、霧島はただ彼らの行為が終わるのをじっと待っている。霧島としては、伴が赤面したり、焦ったりする様を見るのがたまらなく愉快なのだが。
最近では伴が霧島に媚薬を盛ろうと計画するも、それに気づいた霧島に逆に飲まされ、あられもない痴態を繰り広げた。中井も中井で惨めな思いをしたものである。
このころから霧島には妙な嗜虐思考が芽生え始めた。
命の危機――ならぬ貞操の危機を真っ先に感じたのは伴である。学内で目が合おうものならすぐに逸らされるし、三人一緒のセックスの回数も見るからに減った。
霧島の伴への想いは、恋愛感情や性的欲求がもたらすものではない。ただ、獲物として興味があったのだ。
それがどういう因果か――いつの間にか彼らに囚われる形になっていた。
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