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第5話

「くっそ、何で勃たねえんだよ!」  これは乳首を弄っている伴だ。クソも何も勃たないものは勃たない。  確かに乳首が引っ張られたり、つねられたりする感覚はある。  ただ、それだけだ。  そもそも肉体的快楽を感じたことがないのだから、どだい無理な話である。 「氷使えば勃つんじゃね?」  下着の間から性器を取り出し、それを丹念に愛撫していた中井が、顔を上げて言う。 「氷?」  応えるのは伴だ。 「俺、前に氷で乳首やらちんこ責められたことあって……すんげえ痛いし筋縮こまるけど、霧島相手ならそれくらいでちょうどいいだろ!」 「たまにはいいこと言うじゃねえか、中井。ちょっと待て、取ってくる」  伴が席を外したのはほんの二、三分だった。その間、中井は霧島の性器を勃起させようと手を変え品を変え頑張っていたが、結果は出ず。  霧島のやや長い性器は少しも膨張することなく、取り出したままの状態を保っていた。 「くっそ……伴が氷持って来たら、簡単にフル勃起させる自信があるのに」 「過剰な自信は身を亡ぼすぞ」 「……なあ、霧島。俺らのこと怒ってる?」 「怒るほどの価値もない」 「そんなあ」 「待たせたな、中井! 氷持ってきたぞ!」  中井の殊勝な態度が目に入らないのか、伴は無駄に元気な声で己の存在をアピールする。 「これなら勃つだろ」  伴は透明なグラスに入れた氷をひとつ摘まんで、霧島の右乳首にすうーっと滑らす。大きさは家庭用の製氷機で作ったものだろうか。乳首の周りを氷がかすめるたびに、その冷たさに少しだけ背筋が震えたが、要はそれだけのことである。  結果的に霧島の乳首は性器同様、まったく反応を示さなかった。 「何で勃たねえんだよ!」 「知るか。それよりも手が痛い。もうこれでいいだろう。お前らの茶番に付き合うのは面倒くさい」 「……何で、勃たねえんだ」  悔しさで打ちのめされている伴は役に立たない。霧島は中井へと視線を向けた。 「中井、俺の言いたいことわかるよな?」 「うん……ちょっと待ってて」  中井は起き上がり、そのまま霧島の背後に回る。 「でも、俺だって霧島を犯したい。だから外すのは一瞬。約束して。逃げないって」 「逃げるも何も、お前に危害を加えるつもりはないよ」  見かけ以上に用心深い中井は、それでも何度かためらったが、やがて霧島の手錠を外す。 「ありがとう、中井」 「霧島。先に手錠かけさせて。約束でしょ?」 「逃げるつもりはないんだけどな」  霧島は苦笑して再び自由を奪う玩具を見る。本当に簡単に壊れてしまいそうだ。  だが霧島はあえて従順な顔を見せる。  なぜなら――。 「悪いな、中井」 「え?」 「は? うわっ!」  ――霧島にはこの状況を打破するだけの行動力があったからだ。

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