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第6話
「形勢逆転だな」
前で手錠をかけ直された霧島は中井と伴の視界から、それぞれ自分が映りこまないタイミングを計り、それらが一致した瞬間、椅子から立ち上がって目の前の中井を跳ね飛ばし、床で固まっていた伴の背後に回り、伴が気づく間もなく手錠の鎖を伴の首にかけたのだ。
「ぐ……ッつ、お、おい霧島……てめ、ふざけてんのか……っ」
「ふざけてなんかないさ」
「いいからさっさと離せよっ!」
「うるさい。黙って」
霧島は伴を拘束したまま両手を引き、彼の首をさらに圧迫する。
「うぐッ……く、苦しい……ッ」
苦しむ伴をよそに、霧島はその場で立ち尽くす中井へと声をかける。
「中井、手錠の鍵をよこせ」
「い、いやだ!」
「伴がどうなってもいいのか?」
「いいよ!」
「て、てめ、中井ッ! ふざけんなよ!」
中井と伴が言い争いに発展しそうになったので、霧島は折衷案を提示する。
「ならばこれならどうだ? 手錠の鍵をくれたら、俺がお前にキスしてやる」
「キ、キス……だけ?」
「悪いが身体が反応しない。諦めてくれ」
「じゃあ指でもいいから! この前、伴には挿れただろ?」
「あれは箸だ」
「えっと、それじゃあ――」
「おい! てめえら俺を置いて勝手に話すな!」
「うるさい。黙って。犯すよ」
「くそが……ッ」
「じゃあさじゃあさ! ローターでもバイヴでもいいから! 霧島の手で挿れて!」
「わかった。でも手錠の鍵と引き換えだ」
「おいこら中井! てめえ霧島を犯すんじゃないのかよッ?」
「無理だ! 俺はやっぱり霧島に犯されたい!」
「ふざけたこと言ってっと俺がお前を犯すぞ!」
「中井、手錠取って、早く。痛い」
「あ、ごめん霧島! すぐに外すから」
「中井!」
「うるさいって言ってるだろ? 絞め殺すぞ」
「はあ? やれるもんならやってみろよ!」
「ふんッ」
「ぐぁッ」
「霧島動かないで! 鍵外せないよ!」
「ああ中井。手間かけさせてすまないな」
「何言ってんの? 元はといえば伴のバカが――」
「俺を犯したいのは中井、お前じゃないのか?」
「だーかーらー! それは違うの! 俺は霧島に愛されたいだけなんだってば!」
「き、きりしま……て、手離せって……」
「中井。取って」
伴の抵抗が弱まったころ、ようやく霧島は手錠から解放される。そのまま霧島は呼吸を整えていた伴の背後に回り、さきほどまで身に着けさせられていた手錠で伴の両腕を後手で拘束し直した。
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