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第9話
「伴、嫌がってるじゃん。俺なら喜んで霧島と遊んであげるのに。ずるい」
「お前は可愛いが、食指が動くのはこっちの馬鹿らしい」
「ちぇっ」
「もしもふたりきりで会うときがあれば、そのときは考えてやるよ」
「本当?」
「ああ」
「じゃあしょうがないね。霧島、約束だよ? 今度の今度こそは俺に挿れてね」
「わかった。――さて、伴。待たせたな。今日はナニを弄ろうか……」
「霧島。今日はノリノリだね。下ネタ全開」
「この状況で何を言っている。それよりさっさと挿れろよ、中井。俺の前で膝立ちになって股を開くんだ――そうだ。そのままバイヴを俺だと思って突き刺せ」
「ん、わかった――あ、ああ! 霧島ッ、おお、き、あぁああ、気持ちい……気持ちいよぉ……」
中井が豪快に自慰をする声を背に、霧島は伴へと顔を向ける。
「何だ。萎えてるじゃないか。お前は縛られて興奮するタイプじゃないのか」
「ぐ……ッ、うぁ……」
「お前のものは綺麗な造形をしている。これをいつも中井に挿れているのか。痛くなったりしないのか? 自分でも慰めるのか?」
伴は霧島を睨むだけだ。だが、霧島の手が下部を辿ったとき、その眼差しは恐怖へと塗り替わる。
「両手の使えないお前の代わりに、俺が奉仕してやるよ」
「んん――ッ!」
「とは言ったものの、さてどうしようか。舐めれば勝手に勃起するのか? 手淫と何か違いがあるのか?」
そもそもその気になったことがないし、その気というのもわからない。顎に手を当てて考えていると、やけに蕩けた口調で中井が助け舟を出した。
「き、霧島……あのね、シコるよりもフェラの方が生々しくて、俺は好きだよ?」
「へえ。そうか。良いことを聞いた。じゃあ中井、こっちへ」
「へ?」
「伴の性器を舐めてイカせろ」
霧島の提案に一番驚いたのは、他でもない中井だ。
「ええ? 俺が? 嫌だそんなの。伴のちんこ臭そうだもん!」
「つべこべ言わずにヤレよ」
「ええー」
「じゃあ、伴を口淫したらそのバイヴでお前の中を突いてやる」
「ほんとに? ほんとにほんと? じゃあヤル!」
「うう、うううう――ッ!」
中井は仰向けでボールギャグを咥えさせられたままの伴の膝上に馬乗りになり、腰を突き出して伴のイチモツを舐める。
中井のフェラテクは最高峰だ。
伴もそれを知っているからこそ、首を左右に振り、決して抗えない快感から逃れようとする。
孔の開いたボールギャグからはぽたぽたと唾液がこぼれ、硬派な伴の顔を汚していく。
一方尻を突き出した中井の背後にはベビーピンクのバイヴを持てあます霧島の姿があった。
中井の指示通りに押したり引いたりかき混ぜたりを繰り返すが、まったくもって楽しそうではない。これではつまらない。
何がしたいのだろう、と中井は思う。
だが中井は背後に立つ霧島と自身の胎内を行き来するバイヴとが一体化して、もう、何が何だかわからないが、とりあえず気持ちがいい――あの霧島柊二にようやく犯してもらえたんだ、という嬉しさでいっぱいだった。
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