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第10話

 傍から見たら異常な光景だろう。  ひとりはSMよろしく両手を拘束され、口にはボールギャグ。全裸のまま性器を愛撫され、恥ずかしさと屈辱感に支配され軽く涙目になっている男――伴劉生。  ひとりは男娼よろしく淫らに尻を突き上げ、上の口は男のものをしゃぶりつくし、それでいて下の口は愛する男に虐められ、照れくささと幸福感に舞い上がる男――中井千晶。  そして霧島柊二。  だが霧島は他のふたりと違って平常時のポーカーフェイスではなく、眉間に皺を刻んだ仏頂面で足元の男たちを見た。  ――本当に、何が楽しいんだか。  霧島は思う。  そもそもこのおかしなゲームを始めたのは伴と中井のほうである。  霧島を犯す、と宣言したものの、蓋を開ければ、いつも通りの展開。  ――混沌とした……中井や伴の言葉を借りるのならば、まさにカオスの極みだ。  バイヴをぐりぐりと動かしながらも、霧島の思考はどんどんこの場から離れていく。  ――俺は何だ。俺という人間は何だ。そもそも、俺は人間なのか。  将来何の役に立つかもわからずに入った哲学科独特の思考ループに入ってしまったらしい。  ――どうして人間は性行為をしなければならないのだろう。子孫を残すため? なるほど、それが一番ベストな答えだろう。でも俺は子孫なんていらないし、そもそも異性や同性といった認識もない。それならば、俺たちの関係――セックスフレンド? それこそまるで無意味じゃないか。  そういえば、誰かがセックスはスポーツだとも言った。だが、身体を動かしたいのならジムにでも何でも行けばいい。どうしてセックスにこだわるんだ。 「……ん、ぁ……い、イク……俺、イっちゃうよ……」  中井だ。 「そうか。なら、そのまま伴の顔にかけてやれ」 「わかった……ふぁ、でも、まだ伴のちんこイかないの……どうしよう?」  伴を見ると、その顔は涙やら鼻水やら唾液やらで、すでにどろどろになっていた。新たに精液が降りかかるくらい、何ともないだろう。  そう答えを出した霧島は、わざと人好きの顔をして、中井の喉をくすぐった。

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