8 / 73
海斗ごめん。ほっとけない
「おっ、いい香り。何ケータリングしたんだ!?」
槙さんが、起きてきた。
「お前、誰!?」
って、さっき、会ったのに。
「早織さんの弟さんです」
橘内さんにそう言われ、
「あっ、そうだった。すまない、忘れてた」
頭を掻きながら、ごめん、と一言。
「何、これ、お前作ったの?」
テーブルの上には、オムライスと、ハンバーグ。橘内さんに聞いたら、中身はお子様なので、オムライス、ハンバーグ、カレー辺りが無難なのでは、そう教えて貰った。ちなみに、人参とピー マン、生野菜は苦手。
(じき、三十になるのに、困ったものです)って橘内さん、嘆いていた。
「へぇー」
そんなに驚かなくても。
「槙さん、あと、サラダと、スープあります」
「野菜、苦手」
「でも、少しは食べないと」
「なら少し」
槙さんが、椅子に腰を下ろす。
「えっと、名前・・・なんだっけ!?」
「はぁ!?」
思わず声に出して、慌てて手で押さえた。
「皆木ナオです。何回も教えましたよね⁉いい加減覚えてください。片付けから、食事の用意までして貰って」
僕の代わりに、橘内さんが怒ってくれた。
食事が終わると、ソファーへ戻りごろんと寝転がる槙さん。
そんな彼を眺めながら、食器を洗ってると、
「ナオ」
名前を呼ばれた気がして。
彼の所に行くと、ぐいっと手を引っ張られ、ソファーに倒れ込んだ。
ともだちにシェアしよう!