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海斗ごめん。ほっとけない

「おっ、いい香り。何ケータリングしたんだ!?」 槙さんが、起きてきた。 「お前、誰!?」 って、さっき、会ったのに。 「早織さんの弟さんです」 橘内さんにそう言われ、 「あっ、そうだった。すまない、忘れてた」 頭を掻きながら、ごめん、と一言。 「何、これ、お前作ったの?」 テーブルの上には、オムライスと、ハンバーグ。橘内さんに聞いたら、中身はお子様なので、オムライス、ハンバーグ、カレー辺りが無難なのでは、そう教えて貰った。ちなみに、人参とピー マン、生野菜は苦手。 (じき、三十になるのに、困ったものです)って橘内さん、嘆いていた。 「へぇー」 そんなに驚かなくても。 「槙さん、あと、サラダと、スープあります」 「野菜、苦手」 「でも、少しは食べないと」 「なら少し」 槙さんが、椅子に腰を下ろす。 「えっと、名前・・・なんだっけ!?」 「はぁ!?」 思わず声に出して、慌てて手で押さえた。 「皆木ナオです。何回も教えましたよね⁉いい加減覚えてください。片付けから、食事の用意までして貰って」 僕の代わりに、橘内さんが怒ってくれた。 食事が終わると、ソファーへ戻りごろんと寝転がる槙さん。 そんな彼を眺めながら、食器を洗ってると、 「ナオ」 名前を呼ばれた気がして。 彼の所に行くと、ぐいっと手を引っ張られ、ソファーに倒れ込んだ。

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