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運命の巡り合わせ

「なぜ、君達の関係を、私が認めたと思う⁉」 言われてみれば、確かに。 「新人議員が、同性愛者で、恋人が、元妻の実の弟。略奪愛だの、未成年者との爛れた関係だのと、マスコミが喜んで飛び付いてもおかしくないのに。私と君は、前に一度会ってるんだ。多分、覚えてないだろうが」 「え⁉」 やっぱり、どこかで、会ったことがあるんだ。 言われた通り、全然、覚えてないけど。 「一年位前、自宅の前で、喘息の発作を起こした、黄緑色のジャージ姿のおじさんを、助けた記憶はないかな⁉」 黄緑色の!? おじさん⁉ 発作!? あっ、まさか‼ そうだ、思い出した。丁度一年前だ。開店準備をしていた時に、うずくまって苦しんでいた男性を見つけて、声を掛けたんだ。 すぐに、救急車を呼んだけど、なかなか来なくて、来るまでずっと、背中を擦ってたんだっけ。 「あの時の!?」 「そう、スーツ姿なら、代議士の槙だって、誰かしら気が付くと思ったが・・・ジャージ姿では、意外と気が付かないもんだ。みんな素通りして、誰も助けてくれなかった。でも、君が助けてくれた。お陰で、今こうしていれる。その後、直ぐに、君の事を調べさせた。まさか、早織さんの弟だったとは。縁を感じ、運命の巡り合わせとは、まさに、この事だったんだ、そう思った。だから、一樹から、聞かされた時、反対はしなかった。早織さんの面倒をみるのも、君への、恩返しだよ」 「槙さん・・・」 「ほんとは、槙の家に、嫁に来て欲しかった。君に、お父さんと、呼んで欲しかったが、あんないい養父母が、側にいるんだ。君は、幸せものだな、羨ましいくらい」 そんなに誉めないで欲しい。 恥ずかしいから。 「でも、やっぱり、お父さんって呼んでほしい」 手を握り締められ、ぶんぶんと、大きく振られ、戸惑いつつも、頷くと、嬉しそうに笑ってくれた。 「試しに、呼んで」 「今、ここで、ですか!?」 「そう」 引くにもひけず。 「お、お父さん・・・」 すっごく、恥ずかしい。 「ナオ、うちのバカ息子を宜しく頼む。甘ったれの青二才で、まだ、子供で。手が掛かると思うが、面倒をみてやってくれ」 一樹さんのお父さんも、おじさんと同じ事を言ってる気がする。 なんか、笑えるくらい似てる。 「はい、お父さん」 笑顔で返すと、むぎゅーーと、誰かさんみたいにハグされた。 「やっぱり、一樹には、もったいない‼」 って、それ、まさかの本心⁉

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