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やっぱり最後は
「たく、目を離すと、これなんだから」
ふわりと体が宙に浮いて、気付けば一樹さんに抱っこされていた。
「か、一樹さん!」
これはこれで、恥ずかしい。
「ナオは、俺と海斗の‼」
「少しくらい、触らせてくれたって」
「駄目なものは駄目です」
親子で同じこと言ってる。
一樹さんのご家族って、本当、面白い人達ばかり。
「早織さんは、うちになかなか馴染めず、疎外感を抱いたのかもな。生い立ちを正直に話してくれれば、それなりに、配慮したのに。まぁ、今となっては、遅いが・・・ナオは、どうだ⁉槙の嫁として、やっていけそうか⁉」
「あっ、は、はい!頑張ります!」
手を上げて、返事してから、かなり後悔した。
あっ、そうだ、ちゃんと、敬語使わないと‼
「頑張らせて頂きます」
今にも消えそうな声で。
ほんと、恥ずかしい。
ハ、ハ、ハ!!!
一樹さんのお父さんが、また、豪快に笑いだした。
「ナオは本当に面白い子だな。お陰で長生き出来そうだ」
「はぁ、長生きしなくていい」
憮然として、一樹さんが一言。
「せいぜい、ナオを私に取られないように頑張れ」
やはり、一樹さんのお父さんの方が一枚上手。
一樹さん、頭を抱えてた。
遅れて、海斗も合流し、一樹さんに、目で訴える。
(俺も抱っこしたい)
僕、赤ちゃんじゃないから‼
必死で、降ろして、とアピールするも、今度は、海斗に抱っこされ、外が見える場所へ移動した。
「ペットボトル、落ちそう」
「じゃあ、降りる⁉」
「うん」
ソファーに、僕の事、そっと、下ろしてくれて、その時、何気に目があってーー。
何を思ったのか、額に軽く、キスをしてくれた。
「ごめん、やきもち焼いた。みんな、ナオばっかりで」
「ごめんなさい」
謝ると、海斗にようやく笑顔が戻ったけど、今度は、顔色を変えた、一樹さんが飛んできて、ぶちゅーーと、跡が残るくらい強く、頬っぺたにキスをされた。
「二人とも、場所を考えて。一樹さんのお父さんだって見てるんだし」
怒っても、仕方ないのは分かってるけど。
「いやぁ、仲がいいな。羨ましいよ。私も、混ぜて貰おうかな⁉」
「父さん!」
一樹さん、ますます頭を抱えてた。
ほんと、面白い親子。
長居すると、一樹さんの頭に、角が生えそうで、早々に、挨拶して病室を後にした。
奈緒さんが、見送ってくれて、その時、一樹さんのお父さんが、もう、そんなに長くは生きられないと教えて貰った。
「恥ずかしのよ、実の親子だからこそ。だから、あまり見舞いに来ないの。ナオ、一樹の代わりに、顔を出してあげてよ」
「はい」
「駄目、セクハラされるだけ」
「あのね、一樹」
奈緒さん、肩で大きく溜め息ついていた。
「一樹さんのお嫁さんとして、そこは、ちゃんと孝行したい。勿論、海斗のお嫁さんとしても、おじさんたちに孝行したい。それなら、いい⁉」
「ナオが、それでいいなら」
二人とも、ようやく納得してくれた。
良かった。丸く、納まって。
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