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奥様同士のお付きあい

「本当に⁉」 真弓さんが、僕の顔を覗き込んできた。 ーーどうしよう、ちゃんと言わなきゃだめかな⁉ 「寂しがり屋の僕にとって、甘えてくる彼が、とにかく可愛くて。年の差は、不思議と感じてないです。一緒にいて、すごく楽しいから」 「なんか、こっちまで、照れてきた。本当に、一樹の事、好きなんだ」 「はい」と頷いて、耳まで真っ赤になった。 言ってから気が付いたのは、とんでもなく恥ずかしい事を言ってしまった、という後悔で。 「すみません・・・」 今にも消えそうな声で謝った。 「謝ることないのに」 真弓さんは、笑ってた。きさくな方で良かった。 「取り敢えず、食べようか⁉冷めたら、美味しくないし。ナオくんの、のろけ話しはあとで、じっくり聞いてあげるから」 「真弓さん、そんな・・・」 彼女を前にすると、何故だろう、余計な事まで 話したくなるのは。 後に教えて貰ったのは、彼女が、元保健室の先生だったという事と、今は、パートナーの公設秘書をしていること。 だから、その話しを聞いて納得した。 「そういえば、貴方、随分とお若い様だけど、幾つ⁉」 「前の奥様は、お元気かしら⁉」 「槙さんのお父様の具合は⁉」 矢継ぎ早に、色んな方から、質問が飛んできた。 「今、十六です」って、言ったら、皆さん、一様に吃驚されていた。それもそのはず。 すみません、驚かせてしまって・・・。 「芳樹さんが、うちの主人に、嫁の自慢話しばかりしてくるのよ。だから、どんな方か、すごく楽しみにしてたの。主人も、貴方に会いたがっているから、あとで、一樹さんと、一緒にうちに遊びにいらっしゃい」 「はい、是非」 福光さんにまで、声を掛けて貰った。 上手い具合に、姉さんの話しが逸れて良かった。 鏡さん、恥をかいて来いって言ってたけど・・・。 「一樹のお父さんが、福光派の議員、一人一人に、説明して、理解を求めたみたいよ。性的嗜好の違いはあっても、若い二人をどうか見守って欲しいって」 「一樹さんのお父さんが・・・」 「えぇ。『うちの嫁は可愛い』を連呼されるのは、流石にあれだけどね」 真弓さん苦笑いしていた。 一樹さんのお父さん、ありがとう。全然知らなかった。こんな僕に、そこまでしてくれていたなんて。 ちゃんと、あとで、ご挨拶に行かないと。

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