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見えない影

「やっぱりいい」 「なんで⁉」 「絶対笑われるから」 「笑わないよ」 「本当に、笑わないでよ」念を押してから、ランチ代が、四千二百円した事と、カフェで、カフェオレと、シフォンケーキを注文したら、千五百円もして、吃驚した事を話した。 「あと、タクシー代も。ごめんね、三日分の食費、一日で使っちゃって」 明日から、節約しないと。 一樹さんが一生懸命働いたお金、無駄にしちゃった。 俯いて、彼の胸に顔を埋めた。 すると、彼の逞しい腕が、背中に回ってきて、優しく抱き締められた。 「なんか、メチャメチャ可愛いい」 「怒んないの⁉」 「その必要ないよ。付き合いは大切にしたらいい。それに、ナオが家庭をしっかり守ってくれるから、安心して、働く事が出来る」 「僕、一樹さんの役に立ってる⁉」 「あぁ、勿論」 「ありがとう、一樹さん」 僕も、彼の背中に手を伸ばした。 なんか、もう一つ忘れているような・・・。 「あっ‼お土産‼」 「お土産⁉」 「うん。一樹さんにお土産あるんだった。ちゃんと、自分のお小遣いから出したからね」 体を起こし、彼の膝から下りて、手を伸ばし紙袋を拾い上げた。 「はい、一樹さん‼」 笑顔で彼の前に差し出すと、「え⁉何⁉」かなり驚いてた。 「帰りに、真弓さんに、頼んでお店に寄って貰ったの。たいしたものじゃないよ。そんなに、高いものじゃないし」 袋から、綺麗にラッピングされた長方形の箱を取り出す一樹さん。 青色のおっきなリボンを付けて貰ったんだよ。 「開けてもいい⁉」 「うん‼」 ニコニコ、ソワソワしながら、包装紙を外していく彼。そんなに、慎重に空けなくてもいいのに。 「あっ、ネクタイだ」 青色のストライブの入った白のネクタイ。お揃いのネクタイピンも入ってるよ。 「ナオ、こういうのは、お土産じゃなくて、プレゼントっていった方が正しいかも」 「え⁉そうなの⁉」 「あぁ。そうだよ。ナオからの初めてのプレゼントすっごく、すっごく、嬉しいよ」 一樹さん、そう言うなり、ムギューと抱き付いてきた。

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