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守り守られ生きる未来
「だから、貴方や、貴方の家族を守る為、一樹は、明日、同性愛者である事を公表する。その席上に同伴して欲しい。福光氏と、息子も同席するから」
「なんで、こんな僕の為に・・・」
「さっき言っただろう。槙家の嫁だからだよ」
鏡さん、そう言うと、ひまわりに彩られた小道を歩き始めた。
「仮にも父親となるんだ。その子を不幸にしないよう、いずれは、一樹の後継者となるその子に、惜しみない愛情を注いで欲しい」
沢山の子供たちが、黄色い声を上げながら、迷路にもなっているその小道を元気一杯、駆け抜けていく。
その愛らしい姿を、優しく見守る鏡さん。
「行きますよ」
「鏡さん、待って‼」
慌ててその後ろを追い掛けた。
ひまわり畑を沢山散歩し、気分もすっきりして、帰路についた。
「鏡さん、ありがとうございました‼すごく、楽しかったです‼」
車に乗り込む前、お礼を言うと、鏡さん、恥ずかしがってた。
スーパーに立ち寄って貰って、鏡さんと一緒に買い物をしたけど、護衛の警備員さんたちに、他のお客さん吃驚してた。
何事ーー‼って、感じで、みんな振り返って見てた。
もう、恥ずかしくて、正面、見れなかった。
買い物を終え、駐車場に向かって歩いていると、鏡さんと、警備員さんたちが突然立ち止まった。
その視線の先には、不敵な面魂の大柄な男が、沢山の手下を携え、睨みをきかせていた。
「前に話した暴力団だよーー」
鏡さんが、前を向いたまま教えてくれた。
「一度槙家の嫁と認めた以上、命をかけて守るのも、オレの役目ーー」
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