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守り守られ生きる未来
「鏡、やっと、吹っ切れたみたいで良かった。お前の側にいる、橘内だっけ⁉彼の方が、お前にはお似合いかも」
「川木、それ、真面目に言ってる⁉」
「あぁ、勿論だ。橘内だって、槙家に劣らない名家の出だろう。なんで、いいとこの坊っちゃんが、公設秘書に甘んじてるわけ⁉」
そういえば、鏡さんと、川木さんって、知り合いだったんだ。
ここにいない橘内さんの話しで盛り上がっていた。
「秘書同士付き合ったら、一樹の仕事に差し支えるだろ⁉」
橘内さん、鏡さんとは何でもないっていたけど、川木さんは、二人をくっつけようと必死みたいで。
ちょっと笑っちゃった。
「今日、非番だから、一日警護をする」って川木さん。鏡さんと、彼と一緒に家に帰った。
「ナオ、なかなか帰ってこないから心配した」
玄関入るなり、海斗に、抱き締められ、キスの嵐。一樹さんに負けると劣らない、いたずらっ子の手は、背中を滑り、下へ。
「だめ‼」
「なんで⁉」
うるうるしても、駄目なのはだめ‼
「こんにちは」川木さんが、後ろから顔を出してきて、海斗、驚くかと思ったけど。
「ナオの恋人の、皆木海斗です」
意外にも冷静に自己紹介してた。
「皆木⁉」
「戸籍上の、一応゛弟゛です」
「なるほど」
川木さん、僕が二人と交際しているの、鏡さんから聞いたのか知っていて、さほど、吃驚もしなかった。
「じゃあ、恋人同士の時間、邪魔しないで下さい」
海斗が僕の手を引っ張って、中に入れると、バタンとドアを閉めて、鍵まで掛けてしまった。
「海斗‼川木さんに、僕、助けて貰ったん・・・っう、う・・・っん」
顎を掬い上げられ、口付けをされた。
「海斗ってば‼」
「鏡さんはいいとしても、他の男と何で一緒にいるの⁉すげぇ、親しそうにして。ムカつく」
海斗は、僕を抱き上げると、そのまま、 まっすぐ、奥の寝室へ。
「ちょっと、待って‼靴、脱いでないのに‼」
どさっと、ベットに落とされると、すぐに、海斗が覆い被さってきた。
両手首を掴まれ、バンザイの格好にされて。
あちこちに、キスを降らせながら、シャツの中に手を差し入れてきた。
「海斗‼エッチはだめ‼」
「ナオ不足で死にそうなの‼」
唇に、彼の口唇が重なってきて、それはすぐに、濃厚なものになり・・・。
体が、じんじんと、痺れるように熱くなってきて。大好きな恋人の手が肌を撫でる度、ぴくぴくと、小刻みに体が震え、悦びに満ち溢れていく。
「海斗・・・」
彼を見上げれば、すごく、嬉しそうな顔で微笑みを返してくれる。
何気ない日常の幸せーー。
「・・・海斗も甘え上手だね。寂しかった⁉」
「当たり前だろ‼一人寝のむなしさ、悲しさ、ナオには分からないよ」
「ごめんぬ、海斗・・・」
謝ると、ぎゅっと、抱き締めてくれた。
海斗の体の重みに、匂いに、安堵し、彼の背中に手を回すと、更に、ぎぎゅっと力が込められた。
息、出来ないよ‼
海斗‼
く、苦し・・・‼
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