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守り守られ生きる未来

「福光一央(かずおみ)だ」 二十畳はゆうにある広い応接間に、数え切れない程の座蒲団が敷き詰められていて、上席に、一人胡座をかき、気難しい表情を浮かべていた男性がそう名を名乗った。年齢は、一樹さんのお父さんとそう変わらないかも。 「初めまして、皆木ナオと申します」 緊張のあまり、唇を噛みそうになった。 「一樹、何、ぼぉっとしてる。ナオの手を握ってやらんか。緊張して、手が震えてる」 福光さんに言われ、一樹さんが慌てて、僕の右手をそっと握り締めてくれた。 気恥ずかしいけど、嬉しさの方が何倍も増して、自然と笑みが零れた。 「いやぁ、やっと君に会えて嬉しいよ。芳樹から何度も、うちの嫁は可愛いを連呼されてな。一樹に、さっさと会わせろと、何度言った事か」 「すみません、男で・・・」 「そんな事ないぞ。一樹と支え合い、槙家を守っていくのが、君の役目。分からない事だらけだろう。うちの家内に、遠慮せず、何でも聞いて、一日でも早く慣れるよう心掛ければいい」 「はい‼分かりました‼」 笑顔で答えると、福光さんの表情が和らいだ。 あれ、この卵形の顔・・・。 誰かに、輪郭が似てる。誰だっけ⁉ 思い出せないでいるうち、記者会見が始まる時間が近くなり、僕は、隣の控室に案内された。 橘内さんと、鏡さんが先に正座して、待っていてくれた。 橘内さんに、隣に座るよう言われ、腰を下ろした時、何気なく、彼を見て、思い出した。 そう、彼、橘内さんだ。 定刻の十四時になり、大勢の記者と、カメラマンが詰め掛ける中、静かに、記者会見が始まった。 向かって右から、福光さんの奥様、福光さん、そして、一樹さん。 鏡さんがいっていた、福光さんの息子さんの姿は、そこにはなかった。 控室に、モニターが設置されていて、僕は、画面越しに様子を見守る事に。 司会進行は、福光さんの秘書の方。 「わざわざご足労頂き、有り難うございます。プライベートな事なので、会場をこちらにさせていただきました。まず、週刊誌に報じられた、福光氏の隠し子の件ですが、福光家当主である奥様の方から、お話しさせて頂きます」 マイクを渡された奥様は、ゆっくりとした口調で、話し始めた。

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