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守り守られ生きる未来

本当は、奥様に会いたくないはずなのに。 一番辛いの、橘内さんなのに。 なんで、そんなに、優しくしてくれるの⁉ 「いつも兄の子守りをしてくれるからですよ。貴方がいるから、兄は、政治家としての道を歩む事が出来た。感謝してもしきれない」 鏡さん、隣で、大きく頷いていた。 「ナオがいるから、一樹は、文句も言わず、俺らの言うことを聞いてくれる」 「甘えたい時に甘えさせてくれるナオさんの存在は、兄にとって、とても大きい」 誉めてもらえるのは嬉しいんだけど・・・。 正直、恥ずかしいかも。 そんな事をしているうち、マイクは、一樹さんの手に。 橘内さんに促され、一緒に応接間に移動した。 一樹さんの隣に二人で座るなり、一斉にカメラのシャッター音が鳴り響き、けたたましい数のフラッシュがたかれた。 目を開けていられないほどの、眩しさに目が眩む。 「衆議院議員の槙一樹です。弟の、翔と、私の妻のナオです。明日発売の週刊誌に掲載される内容を含め、私の口から説明させて頂きます」 一切隠さず、堂々と。 ゛妻゛の一言で騒然となる場内。 質問も、矢継ぎ早に飛び交う中、彼も、橘内さんも、凛とした表情で、真っ直ぐ前を向いていた。 「槙翔と申します。兄、一樹の公設秘書を務めております。今後も、兄と、槙家の為、誠心誠意務める所存です」 橘内さんが深々と頭を下げると、一樹さんも一緒に頭を下げた。 そして、再び、前を向くと、 「同性愛者である事を公言します。そして、彼が、前妻の弟であることも認めます。しかし、出会ったのは離婚後で、決して、爛れた不倫、略奪婚ではありません。指摘された、暴力団との黒い交際ですが、前妻も、ナオも被害者であり、何ら一切、関わりはありません」 凛々しい声で、はっきりと言い放った。 普段の甘えん坊の彼からは、予想もつかないくらい格好よくて・・・。 ドキドキしてしまった。

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