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 男の子の方は、こういう何気ない会話での、いわゆるコミュ力ってヤツが、少なくともオレよりはあるらしい。それと、オレより気が長い。  咄嗟に出てきた、ひねくれた言葉に、オレが内心では後悔して、頭さえ抱えたい気持ちになっている中、小さく微笑んだ。  それはそれで、なんか、オレの言動がまるで響いていないみたいで悲しい、なんて言ったら。  これは世間で言うところの“面倒くさい女”だったり、オレが嫌ってるプレゼント押し付け系迷惑女じゃないんだろうか。  不慣れな感情に振り回されているオレを、多分本人にはそんなつもりないんだろうけど、男の子は助けてくれた。 「両親はそうしてるよ。でもな、やっぱ自分の足で店に行って、自分の手で買いたいモンだろ。好きな物なら尚更」  もっと、オレの興味を惹かせて、余計なことを考えさせないっていう形で。  オレのひねくれた物言いに、気を悪くした様子も見せず、微笑んでそう返した男の子の目に、「お前だって分かるだろ?」そんな色を感じてしまったのは、オレの錯覚?オレは、この男の子になにか期待してる?  そんな新しい疑問が湧いてきて、さっきまで何で悶々としていたのかさえ忘れてしまいそうだ。余裕がない。オレらしくないけど、これまたオレらしくない事に、オレは振り回されてさえいるような現状が、ちっとも不愉快じゃないのだ。  うん。自覚した。自覚したし、もうこうなったら認めるしかないじゃん。  オレはこの男の子のことが、気に入ったし、気になってる。  家柄とか、付き合っておくべき関係とか、そういうの、全部無関係に。

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