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 特に初対面の時、オレは彼に驚かされてばっかりだった。だけど今思い返してみても1番驚いたのは、オレの言葉を遮って叫ばれたあの時。  彼が通う学校のお坊ちゃんが出すような声量じゃなかったし、細身の彼からは想像しにくい声で叫ばれたこと。 「ちなみにアンタの年齢を知った時が1番驚いたっす」 「お前、初対面の時も感じられなくはなかったが、やっぱ生意気だし、どっか礼節を欠いてるよな?」 「社交場ではちゃんとしてたっすよー」  そのものというよりは、内容の方。  確かに背は高い方だと思うけど、横に細すぎるせいで凄く小柄に見えたし、顔立ちも幼そうだったんだもん。あと、身長差に見合ってない大きな制服とか。  オレとの身長差もあるけど、とてもじゃないけど年上には見えなかった。  彼を腕の中にしっかり抱きしめて、そんな風に出会った瞬間のことをお互い懐かしみながら、オレは改めて思う。  恋は馬鹿らしい。愛なんて存在しない。運命の恋?吐き気がする。  そう考えていたし、そのせいでイライラしてたオレは。  自分でも信じ難いけど、思えばあの時。彼に興味を持った瞬間に、恋の輪郭とやらに触れていたんだ。

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