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長月(25)*

「で……その後は、ずっと覗いとったんや、 ここで……」  水野は、翼の両足を挟むようにして、床に両手を突き、またグイッと顔を近づけてくる。  翼の背中には本棚が当たっていて、もう後がなく、追い詰められてしまった。  夏祭りの帰りの出来事が頭を過ぎり、至近距離に近づいた水野にキスされると、翼は思った。 「おい、やめ……っぅ――」  ――やめろ――と、言おうとしたその瞬間だった。  突然、メイド服のスカートの上から、水野の手が、翼の股間を布ごと握ったのだ。 「で……、ここ、こんなに硬くしてるわけやね」  耳元で低く囁かれた声が背筋を伝い、腰に重く響く。翼の冷めない熱をまた更に上げた。 「また大きくなった」 「さ……、触んな……」  慌てて水野の手を掴み、抵抗の声を発したが、全く力が入っていなかった。 「こういう時の拒否の言葉って、“もっと”って、()うてるように聞こえちゃうのは、なんでやろね?」 「それは……水野が変態やから、そう聞こえるだけや……んぁっ……」  突然水野の舌先に耳殻を撫でられて、ゾクゾクと甘い痺れが背筋を這い上がり、翼は小さく身震いしながら、思わず声を漏らしてしまう。 「あは……感度ええね。翼……」 「やめろって……」  返した声にも吐息が混じってしまう。これでは水野言う通り、まったく拒否になっていない。 「ふふ……“もっと”?」  水野は耳元で笑いながら、フワフワしたスカートの下へ手を入れてくる。 「そんなん()うてへん……やめろって……」 「こんなエロい格好しといて、“やめろ”なんて、どの口が言うとんの?」  太ももをゆっくりと撫で上げて、その手は焦らすように脚の付け根で止まる。 「こんな状態で教室に帰られへんやろ? 俺が抜いたろか?」 「あ……アホなこと言うな……そんなんいらんわ……」 「ホンマに?」  脚の付け根で止まっていた手が、ジリジリと上に上がってくる。指先が下着の上から屹立の根元に軽く触れ、翼は堪らずに身をよじった。 「さ、触ん……な……」  水野は、また耳元に唇を寄せ、クスッと笑う。 「触ってって()うた?」  湿り気を帯びた熱い息が鼓膜を掠め、ゾクゾクとした興奮が、また背筋を這い上がる。 「()うてへん……」  声が震える。それでも翼は、水野の唇から逃れようと顔を背けて、僅かな抵抗を見せた。 「ホンマ強情やね、翼は」  そう言って水野は、突然翼の手を掴む。 「な、何……?」  弱く抵抗する手を、水野は、自分の股間へ導くように強く引く。 「……俺も、翼とおんなじになってるやろ?」  ぐっと押さえられた手のひらの下に感じる、水野の膨らんだ熱と硬さ。 「責任とってくれる? さっき途中で止めさせられて、その上翼のこんなエロい姿見せられたら、さすがにもう我慢出来へん……」

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