82 / 198
長月(25)*
「で……その後は、ずっと覗いとったんや、 ここで……」
水野は、翼の両足を挟むようにして、床に両手を突き、またグイッと顔を近づけてくる。
翼の背中には本棚が当たっていて、もう後がなく、追い詰められてしまった。
夏祭りの帰りの出来事が頭を過ぎり、至近距離に近づいた水野にキスされると、翼は思った。
「おい、やめ……っぅ――」
――やめろ――と、言おうとしたその瞬間だった。
突然、メイド服のスカートの上から、水野の手が、翼の股間を布ごと握ったのだ。
「で……、ここ、こんなに硬くしてるわけやね」
耳元で低く囁かれた声が背筋を伝い、腰に重く響く。翼の冷めない熱をまた更に上げた。
「また大きくなった」
「さ……、触んな……」
慌てて水野の手を掴み、抵抗の声を発したが、全く力が入っていなかった。
「こういう時の拒否の言葉って、“もっと”って、言 うてるように聞こえちゃうのは、なんでやろね?」
「それは……水野が変態やから、そう聞こえるだけや……んぁっ……」
突然水野の舌先に耳殻を撫でられて、ゾクゾクと甘い痺れが背筋を這い上がり、翼は小さく身震いしながら、思わず声を漏らしてしまう。
「あは……感度ええね。翼……」
「やめろって……」
返した声にも吐息が混じってしまう。これでは水野言う通り、まったく拒否になっていない。
「ふふ……“もっと”?」
水野は耳元で笑いながら、フワフワしたスカートの下へ手を入れてくる。
「そんなん言 うてへん……やめろって……」
「こんなエロい格好しといて、“やめろ”なんて、どの口が言うとんの?」
太ももをゆっくりと撫で上げて、その手は焦らすように脚の付け根で止まる。
「こんな状態で教室に帰られへんやろ? 俺が抜いたろか?」
「あ……アホなこと言うな……そんなんいらんわ……」
「ホンマに?」
脚の付け根で止まっていた手が、ジリジリと上に上がってくる。指先が下着の上から屹立の根元に軽く触れ、翼は堪らずに身をよじった。
「さ、触ん……な……」
水野は、また耳元に唇を寄せ、クスッと笑う。
「触ってって言 うた?」
湿り気を帯びた熱い息が鼓膜を掠め、ゾクゾクとした興奮が、また背筋を這い上がる。
「言 うてへん……」
声が震える。それでも翼は、水野の唇から逃れようと顔を背けて、僅かな抵抗を見せた。
「ホンマ強情やね、翼は」
そう言って水野は、突然翼の手を掴む。
「な、何……?」
弱く抵抗する手を、水野は、自分の股間へ導くように強く引く。
「……俺も、翼とおんなじになってるやろ?」
ぐっと押さえられた手のひらの下に感じる、水野の膨らんだ熱と硬さ。
「責任とってくれる? さっき途中で止めさせられて、その上翼のこんなエロい姿見せられたら、さすがにもう我慢出来へん……」
ともだちにシェアしよう!