首筋から鎖骨へと、翔太は頭の位置をずらしながら翼の身体を下り、熱を纏った舌先を、ねっとりと肌に這わせていく。 　くすぐったい。でも気持ちいい。 　触れらた場所から生まれる、そのよく分からない感覚が全身を伝い、翼の下半身を熱く疼かせた。 　身体を辿るように下り、胸の小さな粒を見つけると、翔太はそこに舌先を擦り付ける。 　翼は、微かに唇から熱い吐息を零して、小さく身体を震わせた。 　反応を確かめるように、強弱をつけてそこを攻めると、漏れる吐息に甘さを含んだ声が混じり始めた。 　片方の尖りに唇を寄せて攻めながら、もう片方を指先で摘み上げると、その声が切ない響きに変わる。 　それは翔太にとっても、今までに聞いたことのない声や、今まで見たことのない反応だった。 　もっとその身体を暴いてみたくなる。 　紅く色づいていく尖りに、翔太は飽きる事なく愛撫を繰り返した。 「あっ……っ、や……あぁ……っ」 　昨日、指で弄られた時よりも甘美に感じる刺激に、翼は腰を捩り、膝頭を擦り合わせた。 　硬く尖った頂を、時々唇に挟んで吸い上げられると、ピリッとした小さな痛みが、腰へと伝わって、ズボンの下で脈打つものが、ドクンと、また大きく膨らんだ。 　翼は思わず、翔太の頭に手を伸ばし、クシャッと髪を掴む。 「……しょぉ、たっ……」 　先端から、じわじわと滲み出る雫が、また下着を濡らしている。 「気持ちええ？」 「……そんなん、訊かんでええからっ……」 　──早く、窮屈なズボンを脱いでしまいたい。 　──思い切り扱いて、溜まりに溜まったものを解放してしまいたい。 　本能がそう思わせる。 「……しょうたっ……オレ、もぅ……」 　思わずベルトを外そうと手を伸ばせば、それよりも早く翔太が翼のベルトに手を掛けた。 　カチャカチャと金属音が鳴り、翔太は手早くベルト外してファスナーを下ろすと、一気に下着ごと翼のズボンをずり下ろした。 「……っ！」 　閉じ込められていた昂りが、勢いよく外へ飛び出して、翼の腹を叩く。先端から零していた先走りで肌が濡れたのが感触で分かった。 　着ていたものを全て剥ぎ取られた状態の翼を、翔太が見下ろしている。 　もう、肌を隠すものは何もない。一糸まとわぬ姿を晒しているのが、とてつもなく恥ずかしい。 　見られたくない──だけど触って欲しくて堪らない。 　じっと見つめてくる翔太の視線に、翼の身体は、また一層熱く火照っていく。耐えきれなくて、腕を交差して顔を隠した。 　そっと指先で、昂りに触れられて、ビクンと勝手に腰が跳ねる。 「……あっ……」 　大きな手に包み込まれて、それだけで声が漏れる。〝早く〟と言いたげに腰を微かに揺らしてしまう。 　だけど翔太の手は、翼のそれを掴んだまま、なかなか動かない。 「…………」 （──なんの焦らしプレイやっ） 　そう言いたくなったその瞬間だった。 「──やっぱりあかん」 　翔太がそう呟いて、翼の半身から手を離してしまう。 （──？！） 　翼は、一瞬にして身体から、さっと血の気が引いていくような気がした。 　やっぱり……男とするのは無理だ。翔太は、そう思ったのだ。心配していたことが、現実になったのだ。と、頭を過る。 　離れていってしまう体温に、翼は腕で顔を覆ったまま、動けなくなってしまった。